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金利上昇リスクの緩和!「ミックス型」住宅ローン
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こんにちは!名稲建設株式会社です!
住宅ローン金利への注目度が高まっています。
昨年末に日銀が金融政策を修正したことをきっかけに、将来の金利上昇を意識する人が増えたためであり、最近は金利の上昇に備え「ミックス型」の住宅ローン(以後、ミックス型といいます)を利用する人が増えています。
ミックス型とは、1 人の契約者が複数の異なる金利タイプの住宅ローンを組む形で、基本は固定金利型と変動金利型の組み合わせで、それぞれの金額は借り手が決められるものです。
今回は、ミックス型とはどんな住宅ローンなのか?ミックス型を利用し、金利が上昇すると、どの程度返済額が変わるのか?その他メリット・デメリットについて解説します。
ミックス型とは
ミックス型とは、1 人の人が異なる金利タイプを組み合わせて借り入れする住宅ローンのことをいいます。
例えば、3,000 万円の住宅ローンを借り入れする場合、2,000 万円を固定金利型、1,000 万円を変動金利型というように、異なる金利タイプを組み合わせることが可能です。
金融機関によっては、2,000 万円は返済期間 30 年、1,000 万円は返済期間10 年というように、返済期間をミックスすることが出来る商品もあります。
そもそも住宅ローンは、できるだけ金利を安くしたいと誰もが考えます。そういう意味では金利の低い変動金利の住宅ローン 1 本で借りたいところですが、変動金利は「いつ金利が上昇するかわからない」というリスクを抱えることになり、金利が上昇すれば、返済額も増加することになります。
一方、固定金利は金利が一定なので「上昇するかもしれない」という不安を抱かないで済みますが、当然ながら金利は高めになります。ミックス型は、このようにどちらがいいか悩んでいる人向けの商品です。
それでは、ミックス型を利用した場合、金利が上がるとどの程度返済額が変わるのでしょうか。
合計 4,000 万円を期間 35 年で借りた例でみてみます。足元の金利を参考に全期間固定金利型の金利は年 1.445%、変動金利型は当初年 0.47%とし、全期間固定金利型と変動金利型、ミックス型で比較しました。いずれも元利均等返済で、ミックス型は固定金利型と変動金利型を 2,000 万円ずつとしました。
全期間固定金利型・変動金利型・ミックス型の比較(4,000万円 35年元利均等返済)
※変動金利型の金利が上昇し、6年目以降、年1.5%金利が上がったとして住宅ローンアドバイザー淡河範明氏が試算金利タイプ 借入額
(万円)金利 毎月返済額
(万円)返済総額
(万円)6年目以降年1.5%金利上昇 金利 毎月返済額
(万円)返済総額
(万円)①全期間固定金利型 4,000 1.445% 12.1 5,100 1.445% 12.1 5,100 ②変動金利型 4,000 0.470% 10.3 4,300 1.970% 12.8 5,200 全期間固定金利型と
変動金利型の比較
②-①△ 1.8 △ 800 0.7 100 ③ミックス型 固定型 2,000 1.445% 11.2 4,700 1.445% 12.5 5,160 変動型 2,000 0.470% 1.970% 全期間固定金利型と
ミックス型の比較
③-①△ 0.9 △ 400 0.4 60 変動金利型と
ミックス型の比較
③-②0.9 400 △ 0.3 △ 40 (1.5%は大手銀行の変動型の基準金利が過去40年の平均を少し上回る水準となる上昇幅)
金利が上昇するとどうなるか?
仮に変動金利型の金利が上昇し、6 年目以降、年 1.5%金利が上がったとして試算しました。金利上昇後の変動金利型は適用金利が年 1.97%となり毎月返済額は約12.8 万円と、固定金利型を約 7,000 円上回ります。その後金利が変わらなければ変動金利型の返済総額は約 5,200 万円と、固定金利型を約 100 万円上回ることになります。
ミックス型なら毎月返済額は 12.5 万円、返済総額は約 5,160 万円と、全額を変動金利型にするより影響を抑えられます。借入額がより多かったり、金利の上昇が続いたりすれば、変動金利型の返済総額はさらに膨らむことになります。
「すべて固定金利」と「すべて変動金利」のちょうど中間の金額になり、金利上昇のリスクをある程度、緩和できるということになります。「総支払額を少なくしたい」という要望と、「変動金利の上昇リスクを取りたくない」という要望を同時に満たすことはできないことになりますが、ミックス型であれば、金利が上昇しても金利が上昇しなくても、それぞれの要望をある程度、満たせるということがわかります。
変動金利と固定金利で迷っている人には、ミドルリスク、ミドルリターンとも言える、ミックス型が丁度いいことになります。
ミックス型のメリット・デメリット
【メリット】
金利タイプや借入額などを自由に組み合わせることで、金利変動リスクの軽減を図ることができます。もしも契約後に金利が上昇すれば、固定金利型が有利になり、金利が下降すれば変動金利型が有利になります。
例えば、固定金利型と変動金利型を半々にしておくことで、金利上昇時には、変動金利型だけのローンと比べて、金利上昇リスクを半分に抑えることができ、金利下降時には、変動金利型ローンの割合だけ低金利による恩恵を享受することができます。
また、例えば返済期間をミックスすることで、返済期間の短い方の支払いが終われば、その後の返済額が少なくなります。教育費など、将来の大きな支出に備えるのは、ミックス型の有効な使い方の一つといえます。
ローン返済中の選択肢もあり、金利が上昇し始めた場合に、変動金利型を先に繰上返済すれば利息負担の増加を抑えられます。反対に金利上昇が当面ないとみれば、金利が高い固定金利型から繰上返済する考え方もあります。
どちらを繰上返済するかは自由に選ぶことができます。
【デメリット】
諸経費が増えます。ミックス型を利用するということは、2 つの住宅ローンの契約をすることになります。そのため、契約書は 2 通となり、印紙代や手数料などの諸経費も 2 倍になるのが一般的です(金融機関によっては1 契約ですむ場合もあります)。
リスク分散できる反面、利益が分散。ミックス型は、金利タイプや返済期間などを組み合わせて、リスクを分散させる返済方法のため、金利上昇リスクを軽減しながら、低金利時の恩恵も受けることができます。
一方で、固定金利と変動金利それぞれのメリットを最大限に活かすことはできません。ミックス型は、ミドルリスク・ミドルリターンの住宅ローンに位置付けられ、大きな損をしないための商品であることを理解した上で利用しましょう。
まとめ
先々の金利を正確に予想できない以上、金利水準が変わらなければ金利上昇リスクがない固定金利を選択したいというのが本音だと思います。しかし、実際に住宅ローン金利の条件を見ると、固定金利は変動金利の 2倍以上の利率に設定されている場合もあり、最終的には変動金利を選ぶ方が多いというのが実情です。
「利率だけ見たら変動金利を選びたいところだけど、金利上昇の可能性が怖い」という方は、金利上昇時に支払額がどれだけ増加するのかをシミュレーションしておくと安心です。それでも迷う時は今回紹介しました変動金利と固定金利を組み合わせるミックス型も有効な対策となります。
なお、金融機関によってはミックス型に対応していない場合もあります。更には、対応している場合においても、運用方法は異なりますので、ご希望の金融機関に必ずご確認ください。
住宅ローン「ミックス」の選択 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
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住宅ローンの長期返済はワナにもなる
- 投稿日
こんにちは!名稲建設株式会社です。
今回は、昨年 12 月 10 日付 日本経済新聞 マネーのまなび「住宅ローン、長期返済のワナ」の記事を参考に住宅ローン長期返済のリスク、対策について紹介させていただきます。
家づくりをこれから検討されている方は、参考にして下さいね。
住宅ローンの借入期間が延びている
◇point1
住宅ローンの借入期間が延びているのは、賃金が上がらない中、ウッドショック等により物件価格が上昇し、住宅ローンの借入額が増えているのが原因です。
◇point2
住宅ローン専門金融機関のアルヒは昨年 5 月、最長借入期間を従来の 35 年から 40 年に伸ばした変動金利型の住宅ローンを投入しました。さらに、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する固定金利の「フラット 35」にも、長期優良住宅を対象に最長 50 年貸す商品があります。◇point3
借入期間は長期化しており、住宅金融支援機構が金融機関を対象にした調査では、2019 年度の新規貸し出しの約定貸出期間は平均 27.0 年で、16 年度の 25.6 年から 1 年半程度伸びています。貸出期間が 25 年以下は 16 年度の46%から19 年度は 32%へと減少。一方で 25 年超は 54%から 68%へと増えており、長期化の傾向がわかります。住宅金融支援機構「2020 年度住宅ローン貸出動向調査」400354669.pdf (jhf.go.jp)
その背景は…
その背景にあるのは、建築資材などの高騰で物件価格が上がり、住宅ローンの借入額が増えたことが要因にあります。
同じ金額を借りるなら、借入期間が短い方が支払利息を抑えられ、総返済額が少なくて済みます。借入期間が延びている一因は毎月の返済額を抑える為とみられます。
一般に金融機関は住宅ローンの審査で年収に対する一定の金利での年間返済額を割った「返済比率」を見ますが、35%などの上限を超えると審査が厳しくなります。
35 年ローンで希望額を貸せない場合に、毎月の返済額を抑えると返済比率が下がるため、期間を延ばし、借り入れ可能な額を増やすケースがあります。
長期返済のリスク
毎月の返済額を抑えるのは一つの解決策ですが、借入期間が長くなれば総返済額は増えることになり、日経新聞では「長いローンは老後資金を逼迫させるリスクが高まる。」と指摘しています。
退職金をあてにしている人も多いかもしれませんが、退職金の一定額以上を返済に充てるのはリスクがあります。
仮に退職金を日々の生活費に充てずに済む場合でも、固定資産税や家の修繕費、冠婚葬祭費といった「特別支出」のために手を付けずに持っておく必要があるからです。
要注意!な退職後の住宅ローンの例
1 退職後の返済比率が 50%以上
退職後は必然的に年収が減少しますので、年収に対する返済額の割合は一般に高くなります。年金を含めた年収の 50%以上が住宅ローンの返済で消えていく生活は心配です。
2 退職時のローン残高が一定額以上
定年退職金の平均的な水準は、残念ながら減少傾向にあります。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、勤続 20 年以上 45 歳以上の大卒者の定年退職金の平均は、1997 年の 2,871 万円をピークに 2017 年には 1,788 万円と、約 1,000 万円も減少しています。せめて退職金で完済できる範囲まで、住宅ローンの残高を減らしておくことが望まれます。
3 ボーナス併用返済
毎月の返済以外に、年 2 回のボーナス月に一定額を加算して返済している場合は要注意。老後の生活にはボーナスはなく、ボーナス相当月が訪れるごとに、20~30 万円単位の返済が上乗せされたら、生活が非常に厳しくなることは明らかです。
その対策は
最悪なのは、定年を迎えた時点で住宅ローンの残債が多く、老後資金が枯渇してしまうこと。
日経新聞では「定年時にローンをいつでも完済できる手元資金を持つのが理想」であると助言しています。
あくまで理想ですが、支給される退職金は老後資金として残し、定年時の住宅ローンの残債額相当を計画的に貯蓄しておくことが必要です。
定年時に目指す金融資産の額を決めたら、現時点との差額を定年までの年数で割り、毎年必要な貯蓄額を考える。
例えば25 年間で金融資産を 2,000 万円にするには、ボーナスなどを活用して年 45 万円ずつ貯蓄し、月 2 万円ずつ積み立て投資(年 2%で運用)をするといったことが必要になります。
定年時に金融資産が残債を下回ると苦しい老後になってしまいます。
仮に住宅を売りローンを完済しても老後資金にあたる純資産が少なくなるので、「70 歳までに残債以上の金融資産を確保できないなら見通しなら繰り上げ返済などの検討が必要」と日経新聞では指摘しています。
住宅ローン、長期返済のワナ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
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日銀の金融緩和政策の修正で、住宅ローン金利はどうなる?
- 投稿日
こんにちは!
名稲建設株式会社です。
このコラムでは住宅ローン金利の変動金利・固定金利の金利の決まり方と、2022年12月に日銀が行った金融緩和政策の修正による影響について解説いたします。
マイホームを購入する際に決めなければいけないのが住宅ローン金利の種類です。
住宅ローン金利には変動金利と固定金利があり、それぞれ全く異なる理由によって金利が決まります。また、2022年12月に日銀が金融緩和政策を修正した影響で金利に変化が生じています。住宅ローン金利にも影響のある内容ですので、ぜひご覧になってください。
変動金利と固定金利の違い
まずは変動金利と固定金利(期間選択型・全期間)の違いについて解説いたします。
変動金利:
返済途中でも、国の金融政策などによって適用される金利が変動するタイプ。
一般的な金融機関では金利の見直しは半年に1度で、元利均等返済の場合、金利の見直しがあっても5年間は契約者の毎月の返済額は変わりません。適用金利上昇により6年目にその時点の金利により毎月の返済額が見直される際、元の返済額の1.25倍を超えない範囲で返済額が修正されます。金融機関によって異なるルールを設けている場合もありますので確認してみてください。固定金利期間選択型:
借入から一定の期間は借入金利を固定し、期間が終わったのち金利のタイプ(固定金利もしくは変動金利)を選択できるタイプ。全期間固定金利型:
借入から完済まで借入金利を固定するタイプ。変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか?
住宅購入を前に多くの人が直面するテーマですが、実際のローン利用者はどちらを選んでいるのでしょうか。
住宅金融支援機構が行っている「民間住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月調査)」によると、変動金利を選んだ人は全体の73.9%。対して、全期間固定金利型は8.9%、残りの17.3%が固定金利期間選択型となっています。
住宅ローン金利の決まり方
ここでは住宅ローン金利の決まり方を解説いたします。住宅ローン金利の変動金利・固定金利期間選択型・全期間固定金利型はそれぞれ異なる要因によって変動します。金利の決まり方を理解することで自分に合った住宅ローンを組みやすくなりますので、ぜひご覧ください。
【変動金利】
変動金利は短期プライムレートと連動して決まります。短期プレイムレートとは、銀行が最優良企業(業績が良く信頼性の高い企業)に融資する際の最優遇貸出金利のうち、1年未満の短期融資の金利です。短期プレイムレート自体は企業に適用される金利ですが、この短期プレイムレートに連動して住宅ローンの変動金利も変動します。この短期プライムレートは、金融機関同士がおカネを貸し借りする時の「市中金利(無担保コールレート翌日物)」に連動し、この市中金利をコントロールしているのが日本銀行の「政策金利」なのです。景気の安定を至上命題とする日銀、景気が良くなれば日銀は「政策金利」を上げるように動き、景気が悪くなれば下げようとします。つまり、住宅ローンの変動金利は、「景気の良し悪しの実態」に影響されます。
【固定金利期間選択型】
固定金利期間選択型は円金利スワップレートと連動して決まります。金利スワップとは、異なる種類の金利に借り換えることです。最も一般的なのは変動金利と固定金利の交換で、日本円の取引の場合は特に円金利スワップといいます。変動金利から固定金利に借り換える際の金利の交換率が円金利スワップレートです。重要なのは、円金利スワップレートは金融機関や投資家の金利予想によって決まる、ということです。実際に景気などが変化していなくても、金融機関や投資家の予想が上昇傾向であれば円金利スワップレートは上がり、固定金利期間選択型も上がります。国内の経済の実態で判断する日銀の金融政策に比べ、予想の方が早く展開してくため、変動金利に比べて固定金利期間選択型の方が変動するのが早いのがポイントです。
【全期間固定金利型】
全期間固定金利型は長期金利の代表である新発10年物国債の利回りと連動して決まります。新発10年物国債とは、最新の10年物国債です。国債は市場で取引されるものなので、国債の利回りは投資家の予想の影響を受けます。したがって、全期間固定金利型は、固定金利期間選択型と同様に景気の変化の兆候に敏感に反応し、変動するのが早いのがポイントです。円金利スワップレートは長期金利の影響を受けるので、全期間固定金利型が上昇するときは固定金利期間選択型も上昇することが多いです。期間選択型・全期間とも、固定金利は変動金利よりも変動が早いのが重要なポイント。固定金利は予想(期待)で決まり、変動金利は実態で決まる傾向にあります。変動金利で住宅ローンを組んでいる場合に、「変動金利が上昇しそうだから固定金利に変えよう」と思ったときには、固定金利は既に上昇していることが多いので、注意が必要です。
2022年12月の日銀の金融緩和政策の修正
日銀は2022年12月の金融政策決定会合で金融政策を修正しました。最大の変更点は長期金利の変動幅の上限を引き上げるという内容です。ここでは2022年12月の金融政策の修正について詳しく解説いたします。
【2022年12月の日銀の金融緩和政策の修正の内容】
日銀は物価上昇率2%の安定的な実現を目標とし、市中に多くの資金を供給する金融緩和政策を採っています。短期金利に対する代表的な政策がマイナス金利政策で、金融機関が日銀にお金を預ける当座預金の一部について-0.1%の金利を設定していました。また、代表的な長期金利の指標である10年物国債利回りを0%程度に誘導し、許容する利回りを±0.25%程度としていました。今回の修正の最大の変更点は、長期金利の利回りの許容値を±0.25%程度から±0.5%程度に変更したことです。利回りの上限が0.25%では債券市場において10年物国債の取引が成立しない日が増えており、「市場機能が大きく損なわれる状況が出てきた」(黒田総裁)と日銀が判断した格好です。10年物国債の取引が成立しないと長期金利のデータがなくなり、「企業の社債発行など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがある」(黒田総裁)ことになります。これまでの金融政策を継続すると市場への弊害が大きいと日銀が判断したということです。
【住宅ローン金利への影響】
日銀の金融緩和政策の修正により一般家庭が最も影響を受けるのが住宅ローン金利です。前述したとおり、変動金利は「短期プライムレート」(短期金利)、固定金利期間選択型は「円金利スワップレート」(長期金利)、全期間固定金利型は「新発10年物国債利回り」(長期金利)と連動します。2022年12月の日銀の金融緩和政策の修正は長期金利の変更のみなので、影響を受けやすいのは固定金利期間選択型及び全期間固定金利型です。固定金利期間選択型及び全期間固定金利型が連動する長期金利は日銀の修正発表を受けて2日間で0.48%まで上昇し、上昇幅は0.23%に達しています。2023年1月時点の住宅ローン金利については後述しますのでそちらをご覧ください。
一方、短期金利に関する政策に対してのテコ入れは行われないため、変動金利には直接の影響はありません。また、ネット銀行の参入により金融機関の金利競争が激化している現状において、変動金利がすぐに上昇する可能性は低いと考えられています。ただし、市場への悪影響の懸念が続き、日銀の金融緩和政策の修正の影響が短期金利にまで及ぶと変動金利も上昇します。変動金利で借り入れしているご家庭にも遅れて負担がのしかかることとなり、そのときには固定金利は大きく上昇している可能性が高いことには注意が必要です。12.24日経新聞記事マネーのまなび日銀、金融緩和政策を修正: 日本経済新聞 (nikkei.com)
【2023年1月の住宅ローン金利】
日銀の長期金利の修正発表を受け、2023年1月時点で各行の住宅ローン金利がどのように変化したかをご紹介いたします。『変動金利』
ダイヤモンド不動産研究所の調査によると、主要14行のうち、2023年1月の住宅ローンの変動金利を引き上げた銀行はなし、引き下げた銀行が2行です。◇auじぶん銀行 0.289%(前月比±0.000%)全期間引下げプラン、au金利優遇割
◇SBI新生銀行 0.320%(前月比▲0.030%)変動フォーカス、キャンペーン
◇PayPay銀行 0.349%(前月比±0.000%)全期間引き下げ
◇SBIマネープラザ 0.375%(前月比▲0.015%)通期引き下げプラン
◇みずほ銀行 0.375%(前月比±0.000%)全期間重視プラン『10年固定金利』
ダイヤモンド不動産研究所の調査によると、主要13行のうち、2023年1月の住宅ローンの10年固定金利を引き上げた銀行が11行、引き下げた銀行はありません。◇SBI新生銀行 1.050%(前月比±0.000%)当初固定金利タイプ、頭金10%以上、割引プログラム
◇ソニー銀行 1.245%(前月比+0.045%)住宅ローン、頭金10%以上
◇イオン銀行 0.990%(前月比±0.000%)当初固定金利プラン
◇みずほ銀行 1.400%(前月比+0.300%)全期間重視プラン
◇楽天銀行 1.442%(前月比+0.044%)金利選択型『全期間固定金利』
ダイヤモンド不動産研究所の調査によると、主要8行のうち、2023年1月の住宅ローンの全期間固定・35年固定金利を引き上げた銀行が6行、引き下げた銀行が1行です。◇りそな銀行 1.395%(前月比+0.100%)住宅ローン超長期
◇SBI新生銀行 1.700%(前月比±0.000%)ステップダウン金利タイプ
◇アルヒ 1.300%(前月比+0.110%)スーパーフラット35S・Aプラン
◇優良住宅ローン 1.430%(前月比+0.030%)フラット35S・Aプラン
◇三井住友信託銀行 1.430%(前月比+0.030%)フラット35S・Aプラン
◇みずほ銀行 1.430%(前月比+0.030%)フラット35S・Aプランまとめ
住宅ローン金利の種類は住宅ローンを組む際の重要な選択です。
ご家庭の経済状況に応じて適切に選択することで、無理のない計画的な返済ができます。
日銀の金融緩和政策により低金利が続いていましたが、2022年12月の金融緩和政策の修正により状況が変化しています。
これからマイホームのご購入を検討している方、既にマイホームを購入していて住宅ローンを利用している方はしっかりと情報を収集して無理のない返済計画を立ててみてください。
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ライフ・パートナーズ Vol.75
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長期の固定金利住宅ローンの「フラット 35」
- 投稿日
こんにちは!名稲建設株式会社です。
「フラット 35」という言葉を、CM、ネットで目や耳にしたことがあるかもしれません。
これは民間の金融機関と住宅金融支援機構(以前の住宅金融公庫)が提携した全期間固定金利の住宅ローンの一つです。
昨年 12 月に日銀が大規模緩和を修正する方針を定め、長期金利の変動許容幅を 0.25%から 0.50%に拡大したのをきっかけに、住宅ローン金利への注目度が高まっており、今回は返済期間の金利が変わらない全期間固定金利の「フラット 35」について解説します。
「フラット 35」とは
申込者本人または親族が居住するための新築住宅の建築資金・購入資金・中古住宅の購入資金に利用できる住宅ローン。
返済期間の金利が変わらない全期間固定金利であることが特徴で、借り入れの際に職業や勤務形態、勤続年数などの制限が少ないため、幅広い人が利用できます。
提携している住宅金融支援機構は、国土交通省と財務省が所管していた住宅金融公庫を引き継いだ公的な機関です。
住宅金融支援機構が住宅ローン債権を買い取り、証券化して投資家へ販売する仕組みになっているのですが、その信用力の高さから、債権を低い利回りで投資家に販売できるので、金利変動のリスクから民間では扱いにくい全期間固定金利の住宅ローンが提供できるのです。
将来の金利上昇時のリスクを回避したい、金利の事で悩みたくないという方にオススメです。
「フラット 35」の基礎知識
(1)全期間固定金利の住宅ローン
最長 35 年間(最短 15 年~35 年間)の全期間固定金利型の住宅ローンのため、住宅ローン実行時に返済終了までの借入金利と返済額が確定します。(2)融資限度額は 8,000 万円
借入限度額は 100 万円以上 8,000 万円以下(1 万円単位)で、住宅の建設費(土地取得費を含む)または購入価格以内です。(3)団体信用生命保険制度(団信)に加入できなくてもローンが利用できる
一般の金融機関では、住宅ローンの利用には「団信への加入が必須」とする場合が多くなっていますが、フラット 35 は、健康上の理由から団信への加入が難しい人でも、住宅ローンを利用できます。団信とは、ローン返済中に借り入れている本人が死亡したり、重篤な症状に陥ったりした際に、ローンの残金を代わりに保険会社が支払う制度です。借入時に健康状態に問題があった場合、団信に加入できないことがあります。
(4)保証人が不要
住宅ローンでは連帯保証人が必要になることがありますが、フラット 35 では不要です。さらに、保証会社へ保証料を払う必要もありません。「フラット 35」のメリット・デメリット
●メリット
① 幅広い方の利用が可能
一般的な金融機関の住宅ローンでは収入の安定度なども審査されるため、勤務形態や勤続年数などが条件とされることがあります。フラット 35 では年収基準(前年の収入)で判断されるため、自営業や転職間もない方なども利用しやすい住宅ローンです。② 返済期間中は金利が変わらない。
全期間固定金利の住宅ローンです。そのため、借入金利が完済まで固定されます。毎月の返済額や返済総額が借入時に確定するため、安定した返済プランを立てられます。③ 繰り上げ返済手数料がかからない。
資金に余裕ができて、繰り上げ返済する場合でも手数料が発生しません。金融機関窓口での繰り上げ返済は 100 万円以上からとなりますが、インターネットサービス「住・My Note」を利用した場合は 10 万円から繰り上げ返済を行うことができます。小額から繰り上げ返済できるのは、大きな魅力ですよね。●デメリット
① 変動金利型と比較すると金利が高め
変動金利型のローンは、政策金利を基準に決定される「短期プライムレート」と連動した金利が採用されています。そのため、現在は非常に低い金利に設定されています。金利は変動するため、将来的に金利が上がる可能性があるものの、完済時まで金利が全期間固定金利の水準を上回らない場合、変動金利型の方が返済総額は少なくなることがあります。
② 借入額が住宅価格の 9 割を超えると金利が高くなる
フラット 35 では、建設費または購入価額まで融資を受けることが可能です。ただし、頭金を購入価額の 1 割以下しか用意できず、9 割超の金額を借り入れる場合は金利が上がります。借入額が住宅価格の 9 割を超える場合は、あらかじめ少し金利が高くなることを想定した返済計画を立てましょう。また、可能であれば、両親等からの住宅資金援助も検討してみると良いでしょう。
「できるだけ安定した生活を送りながら、素敵な家で暮らしたい」というのは、多くの人々が求めるもの。フラット 35 は、それを実現する手助けになる住宅ローンです。
より幅広い人々へ住宅ローンの門戸を広げるとともに、全期間固定金利であるため、長期にわたる生活設計を可能としています。
今後、住宅の購入を考えている方は、ぜひフラット 35 の利用を検討してみてくださいね。
【フラット35】住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫) (jhf.go.jp)
住宅ローンの「フラット 35」 長期の固定金利 借りやすく :日本経済新聞 (nikkei.com) -
ライフ・パートナーズ Vol.73
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住宅ローン繰上げ返済のタイミングと注意しておきたいポイント
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こんにちは!名稲建設株式会社です。
今日は前回に続いて、住宅購入時にほとんどの方が利用される住宅ローンにおける、家計にゆとりが出たときの繰り上げ返済について、第2弾をお届けします!▶︎返済負担を減らせる住宅ローンの繰上げ返済
ここ数年、住宅ローン金利は、日銀による金融緩和政策などの影響で、低金利の状態が続いています。けれど、世界的に見るとアメリカなどの欧米各国は、経済回復に併せて急激なインフレ対策として、金利を上げています。
そのため、日銀が今後、金利を低金利のままで維持するのか、それとも引き上げるのか、日本の今後の金利動向への関心が高まっています。
特に金利が大きく影響するのが、変動型の金利で住宅ローンを組んでいる人。金利が上がれば将来の返済負担は大きくなる可能性が大なのです。こうした、金利上昇による返済負担の影響を抑える手段として考えられるのが、住宅ローンの残高の一部を繰り上げ返済する方法です。
ただし、繰り上げ返済する際には注意点があるのも事実。
ここからは、どんな注意点があるのか解説していきましょう。▶︎繰り上げ返済はいつ行うのがベター?
繰り上げ返済を行う上で注意したいのが、住宅ローン減税との関係です。
「住宅ローン減税」とは、住宅ローンを組むと最長13年間受けられる減税制度。
毎年、上限はありますが年末のローン残高の0.7%(2022年に取得した場合)を最長13年にわたって所得税と住民税から控除できる、家計にとってメリットの大きい制度です。住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、当然年末時点のローン残高が少なくなりますから、控除される金額(つまり、戻ってくる税金)が少なくなることも。
住宅ローン減税の効果と、繰上げ返済の効果、どちらがメリットが大きいのかを事前にしっかりとシミュレーションして、タイミングを考える必要があります。
一概には言えませんが、住宅ローン減税のある期間はローン残高を減らさずに恩恵を大きくして貯蓄を優先。減税効果がなくなった後で繰り上げ返済をするという考え方もあるでしょう。
▶︎繰上げ返済時の注意点
住宅ローンの繰り上げ返済をする際には、家計のことをよく考えて判断することが大切です。
例えば、これからお子様の進学費用など教育費がかかるというタイミングで、住宅ローンの繰上げ返済のために手元の資金を使ってしまうのは不安が残るケースも。
また、急な出費があった場合に備えてある程度は貯蓄をしていないと、家計が苦しくなってしまうことも考えられます。そのため、生活費や教育費などを考慮して繰り上げ返済を計画していくことが肝心です。
▶︎繰り上げ返済金額の制限や手数料は?
住宅ローンの繰り上げ返済は、基本的には利用者の都合でいつでもできます。
最低額は1万円からが一般的ですが、1円からできる金融機関も。このあたりは、金融機関によって異なりますし、繰り上げ返済金額に制限を設けている場合がありますので、確認してみましょう。また、インターネットバンキングなどが普及している今。インターネット経由で繰上げ返済手続きができる金融機関もあります。この場合「毎月○回までは手数料がかからない」などと一定数まで手数料なしで返済できるところも。
銀行によって手数料は異なりますので、繰り上げ返済金額を含めて事前に確認が必要です。マイホーム購入後、収入が増加したり、臨時収入があったりして家計にゆとりができたときや、返済能力に余裕ができた場合には、通常の返済とは別にローンの元金部分の一部を返してしまう「繰り上げ返済」も選択肢の一つとして検討してみても良いですね。
ハウスメーカーとしてお客様一人ひとりに対して親身になって相談を承ります。
いつでもお気軽にご連絡ください。
※参考
日本経済新聞(2022年6月25日)
「マネーのまなび 住宅ローン、返済負担減らす」全国銀行協会「Q. 住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?」
全国銀行協会「繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済 」
中日新聞 2022年9月15日「<プロに聞く くらしとお金の相談室>住宅ローンの繰り上げ返済」
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ライフ・パートナーズ Vol.72
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住宅ローンのペアローンのメリット・デメリットを解説
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こんにちは!名稲建設株式会社です。
新築一戸建て、注文住宅、マイホームの夢は膨らみますが、「住宅ローンを一人で返済していけるか不安・・」という方もいらっしゃると思います。
このコラムでは、夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む「ペアローン」のメリット・デメリットについて解説いたします。ペアローンとは
ペアローンとは、ひとつの物件に夫婦それぞれが主債務者として住宅ローンを組む仕組みです。
夫婦で1つの家を購入するために、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、相手の契約の保証人になります。つまり、物件はひとつにもかかわらず、契約は2本となります。
ローンが2本となるため、金利タイプなどの借り入れ条件はそれぞれ設定でき、例えば総額5,000万円を借りるなら、夫が固定型で期間35年・3,000万円、妻が変動型で20年・2,000万円を借りるといった具合です。
夫婦で借りる方法には、1人が契約者となる主債務者、もう1人が連帯保証人や連帯債務者となり2人で1本のローンを借りる収入合算もあります。ただ片方が連帯保証人となる場合は、審査上、連帯保証人の収入を全額は合算しない金融機関もあります。一方、連帯債務者となる場合やペアローンは2人の収入全額を合算することができます。ペアローンを組むことができる条件は金融機関により異なりますので、ペアローンを検討する場合は金融機関に確認するようにしましょう。
ペアローンのメリット
住宅ローン控除を夫婦それぞれが受けることができる
住宅を購入して居住すると、住宅ローン残高を基準に一定額の所得税控除が受けられる住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)という制度が受けられます。ペアローンは契約が2つあるため、夫婦それぞれが住宅ローン控除を申請可能です。
住宅ローン控除は1人当たりが受けられる控除額に上限があります。
単独の借入では控除の限度額を超えてしまうケースでも、ペアローンを活用すると夫婦で最大限の恩恵を受けることができます。[参考]
コラム/住宅ローン減税はどう変わるか借入可能額が大きくなる
片方が連帯保証人となる収入合算でも借入可能額は大きくなりますが、合算額に上限があります。
そのため、2人の収入を全て合算できるペアローンの方が、借入可能額が大きくなる可能性が高く、希望の物件が見つかっても、自分だけの借入では購入額に満たない場合は、ペアローンを検討し、借入額が増額できれば、高額のマイホームを手に入れられる可能性も高くなります。2人とも団体信用生命保険(団信)に加入できる
ペアローンを組む場合は2人とも団信に加入することができ、相手が亡くなってしまった場合は相手のローン返済は免除となります。
お互いの生命保険の1種として考えることができます。[参考]
コラム/住宅ローン組むなら必須!?団体信用生命保険(団信)ってどんな保険?ペアローンのデメリット
住宅ローンの諸費用が2人分かかる
それぞれが住宅ローンを組むので、それぞれに諸費用がかかることになります。
贈与税がかかる場合がある
ペアローンを組むときに、住宅ローンの負担割合と住宅の所有割合(面積比)を決めることになります。
住宅ローンの負担割合と住宅の所有割合が異なると、住宅ローンを多く負担する方が住宅の一部を贈与していることとなり、贈与税がかかります。
特別な理由がない限りは負担割合と所有割合が同じ割合となるようにしましょう。フラット35を利用することができない
フラット35にはペアローンという仕組みがありません。
全期間固定金利で利用できるフラット35は有効な選択肢ですが、ペアローンの場合は利用できませんので、注意が必要です。相手が亡くなった場合に住宅ローンが半分残る
メリットに「2人とも団信に加入できる」ことを挙げましたが、ペアローンの場合、相手が亡くなったときに自分の住宅ローンが残ることになります。夫に万が一のことがあると、夫の分の借入額は弁済されますが、妻の分は残ります。
お互いの経済力に差があり、経済力の低い方にローンが残ってしまうと返済の負担が大きくなってしまうので注意が必要です。
夫に万が一のことがあった場合に、引き続き自分が負う返済額を払っていけるか不安な場合は、ペアローンはやめた方が良いです。夫の単独借入であれば、妻に万が一のことがあっても弁済されませんが、夫に万が一のことがあった場合には借入全額が弁済されます。妻の退職や離婚時の返済リスク
デメリットとして、妻(夫)の退職で返済リスクが高まる点が挙げられる。ペアローンを選択したことで高額の住宅ローンを借りることができたとしても、あくまで2人で家計を支える前提のため、1人では支払いが難しくなるリスクがあります。また、住宅ローン締結後に離婚に至った場合も問題が浮上します。離婚時に共有物件を売却しないのであれば、どちらかの100%所有名義に変えることが一般的です。元夫(元妻)の100%名義にするには、一方の持分を他方に譲渡しなければなりません。
しかし、住宅ローンの名義まで移すにはハードルが高く、仮に借り換えなどの手段で名義を移せたとしても、元々2人で支払っていた返済額を1人で背負うには負担が大きくなります。まとめ
ペアローンについての解説は以上となります。
ペアローンはマイホーム購入時の借入を夫と妻がそれぞれ借入することで、借入可能額を増やすことが出来る便利な手段です。ペアローンを選べば、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることもできます。
ただし、妻の退職や離婚時の返済リスクなどさまざまなデメリットがあることにも注意が必要です。ペアローンは、夫婦仲良く働き続けることが前提となります。これから住宅ローン借入を検討している方は、ペアローンの特性をしっかりと理解した上で、自分たちに適した手段を選択するようにしてください。 -
こどもエコすまい支援事業について解説
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こんにちは!名稲建設株式会社です。
2023年から運用が始まる「こどもエコすまい支援事業」。
2050年のカーボンニュートラル実現のための施策の一つであり、子育て世帯などは住宅を省エネに対応させることで補助を受けることができます。
注文住宅や新築一戸建てのマイホームはもちろん、リフォーム工事も事業の対象です。
環境にやさしく、暮らしやすいマイホームを、補助を受けながら手に入れることができます。
一石三鳥の「こどもエコすまい支援事業」について、2022年(令和4年)12月27日現在の情報に基づき、解説いたします。こどもエコすまい支援事業とは
こどもエコすまい支援事業は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業です。
注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォームが補助対象事業となります。
ここでは、「注文住宅の新築」の場合における事業内容を解説いたします。【補助対象者】
- 18歳未満の子どもをもつ子育て世帯(申請時点において、年齢は令和4年4月1日時点18歳未満、すなわち、平成16(2004)年4月2日以降出生の子を有する世帯)
- 夫婦いずれかが39歳以下の若者夫婦世帯(申請時点において夫婦であり、年齢は令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下、すなわち、昭和57(1982)年4月2日以降出生の世帯)
【補助対象事業】
- 住宅取得者となる子育て世帯、または、若者夫婦世帯が、自ら居住することを目的に新たに発注(工事請負契約)する住宅の建築
- 契約日に関わらず、2022年(令和4年)11月8日以降に対象工事に着手したもの
【補助対象住宅・金額】
- ZEH住宅(強化外皮基準かつ再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量20%削減に適合するもの)
- 対象となる住宅の延べ面積は、50㎡以上
- 土砂災害特別警戒区域における住宅は原則対象外(岐阜県の土砂災害特別警戒区域は「県域統合型GISぎふ」で確認することができます)
- 補助額は1戸あたり100万円
【申請手続き】
1.事業全体の流れ
購入者である一般消費者が何かを申請する必要はありません。
工事を行う事業者や販売事業者が申請手続きを行います。
事業者がこどもエコすまい支援事業の事業者登録を行っていない場合は補助の対象とならないので、必ず事前に確認するようにしましょう。
補助金は事業者から住宅取得者に全額還元されることになっています。
事業者はこどもエコすまい支援事業の申請を行うにあたり、住宅取得者に説明を行い、補助金の還元方法について両者で合意するという決まりがあります。
事業者から申請の説明や還元方法の説明がなかった場合は必ず事業者に問い合わせるようにしましょう。2.補助金交付に必要となる手続き
①共同事業実施規約
工事請負契約や売買契約の締結時に、補助事業者(工事施工業者・住宅販売事業者)と共同事業者(住宅取得者等)との間で、補助事業の実施や補助金の受け取りに関する取り決め(共同事業実施規約)を締結し、交付申請時に提出する必要があります。
②交付申請の予約(任意)
建築工事着工後に補助金の交付申請の任意の予約が可能です。
こどもエコすまい支援事業は予算がなくなると補助金の交付が終了しますが、予約によって補助金が一定期間確保されます。
予約申請後3ヶ月以内に交付申請が無かった場合、その予約は取り消されるので注意しましょう。
予約の完了はあくまでも着工から交付申請までの期間に予算の確保をするためだけのものであり、交付申請可能な期間に交付申請を行って交付決定されない限り、補助金交付は確定されません。
交付申請の締め切りは、予算の執行状況に応じて公表されます。③交付申請時の工事出来高の確認
新築工事については、工事全体の完了前であっても、補助額以上の工事出来高への到達が確認できた時点で補助金の交付が可能です。その場合、建築士が確認を行った上で出来高確認書を作成し、交付申請時に提出します。
④完了報告
2024年(令和6年)7月31日までに住宅の引渡しと入居を行い、完了報告を提出する必要があります。
⑤補助金の還元
補助事業者は共同事業実施規約にて合意した還元方法に基づいて住宅取得者に対して補助金を全額還元します。
参考:国土交通省「こどもエコすまい支援事業の概要」「こどもエコすまい支援事業について」
「こどもエコすまい支援事業」と「こどもみらい住宅支援事業」の違い
「こどもエコすまい支援事業」とは別に、「こどもみらい住宅支援事業」という支援事業があります。ここでは、補助対象者と補助額について解説いたします。
なお、こどもみらい住宅支援事業は2022年(令和4年)11月28日を以て補助金申請額が予算上限に達したため、交付申請および交付申請の予約の受付が終了しています。補助対象者
基本的に同じです。補助額
「こどもエコすまい支援事業」
・ZEH住宅に対して100万円/戸「こどもみらい住宅支援事業 」
・ZEH住宅に対して100万円/戸
・高い省エネ性能を有する住宅に対して80万円/戸
・一定の省エネ性能のある住宅に対して60万円/戸こどもエコすまい支援事業ではZEH未満の住宅が補助の対象外となりました。
こどもエコすまい支援事業については、補正予算案閣議決定日(2022年(令和4年)11月8日)以降の契約を対象とすることを予定していましたが、対象となる省エネ投資をより確実に補足・誘導するため、要件が一部見直されました。
契約日は問わず、2022年(令和4年)11月7日以前に着工(杭打ち工事又は根切工事の開始)した住宅であっても、「対象工事」への着手が2022年(令和4年)11月8日以降であって、交付申請時点でZEHレベルの省エネ性能を有する住宅であることの証明書が提出できるものについては、補助対象となります。「こどもエコすまい支援事業」でよくある質問
他の補助金制度と併用できますか?
地方公共団体の補助金との併用は可能です。
国の補助金との併用は原則不可能です。
また、こどもみらい住宅支援事業との併用もできませんので、注意しましょう。交付申請に費用はかかりますか?
事務局が交付申請費用を請求することはありませんが、申請に必要な証明書類の準備のために費用がかかることがあります。
交付申請の手続きの手数料を事業者から求められることはありますか?
事業者から交付申請の手続きを求められることがあります。
事前に確認しましょう。若者夫婦世帯は契約時点で夫婦である必要はありますか?
交付申請時点もしくは交付予約提出時点で夫婦であることが確認できる場合は対象となります。
同居しているが住民票の世帯が分かれている場合は対象になりますか?
同居し、生活を共にしているのであれば、住民票上の世帯が分かれていても補助を受けることができます。
ただし、同居が確認できる、同じ住所である、世帯表をそれぞれ提出してください。夫婦別居の場合、若者夫婦世帯の対象になりますか?
原則として交付申請時点もしくは交付予約提出時点で同居が確認できない場合は補助の対象になりません。
ただし、単身赴任などの住宅取得者の責によらない事由での別居の場合、個別の対応が検討されることがあります。
事務局に相談するようにしましょう。若者夫婦世帯は子供がいなくても対象になりますか?
若者夫婦世帯は子供がいなくても補助の対象になります。
18歳未満の子が別居していても子育て世帯の対象になりますか?
原則として交付申請時点もしくは交付予約提出時点で18歳未満の子と同居していることが補助の条件です。
ただし、単身赴任などの住宅取得者の責によらない事由での別居の場合、個別の対応が検討されることがあります。
事務局に相談するようにしましょう。交付申請時点で妊娠中の場合、子育て世帯で申請できますか?
交付申請時点もしくは交付予約提出時点で子を有していない世帯は子育て世帯に該当しません。
若者夫婦世帯に該当する場合は補助の対象となります。まとめ
こどもエコすまい支援事業について解説いたしました。
以下がポイントです。
- ZEH住宅は100万円の補助を受けることができる
- 補助金は事業者から住宅取得者に全額還元される
- 住宅取得者は申請を行わなくてよい(事業者が行う)
- 予算上限に達すると補助金の交付が終了してしまう
補助金交付の条件であるZEH住宅は環境に優しいだけでなく、省エネ・創エネが可能など、お財布にも優しく快適に暮らせる住宅です。
補助を受けながら、快適な暮らしをサポートしてくれる夢のマイホームを手に入れることができる素敵な支援事業がこどもエコすまい支援事業です。
補助金には上限がありますので、補助金交付申請が終了する前にぜひ活用しましょう。
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ライフ・パートナーズ Vol.71
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マイホームに取り入れてみたい収納プラン2つ!最近の傾向も解説
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こんにちは!名稲建設株式会社です。
注文住宅の家づくりでこだわる方が多いのが、収納計画です。これから何十年と住み続ける家だからこそ「収納は多くて使いやすくしたい!」と思いますよね。
ということで、今回はマイホームに取り入れてみたい収納プランを2つご紹介。
家づくり計画の参考にしてみてくださいね!▶︎取り入れてみたい収納プラン①ウォークインクローゼット
最近は家を建てる際に、ほとんどの住まいで取り入れられているのがウォークインクローゼットです。
ウォークインクローゼットは衣服をまとめて収納できるため、衣替えの手間を省けるのが最大のメリット。着替えられる空間があるので、アクセサリーや帽子なども収納しておくと、ウォークインクローゼットの中で身支度を整えることができます。
ウォークインクローゼット自体は今までもありましたが、最近の傾向としては服をハンガーでかけるためのハンガーパイプを2段など多めに欲しいというお家が増えています。また、これまではウォークインクローゼットの広さも2、3帖が主流でしたが、最近は4帖くらい欲しいという方も。
寝室にウォークインクローゼットを作るなら、寝室の寝るスペースは最小限にして、クローゼットを大きめに確保するといった考えが主流になりつつあります。寝室にウォークインクローゼットを作るメリットは、起床後移動しなくてもそのまま着替えができ、さらに寝室にあるので来客があっても中を見られる心配がありません。
▶︎取り入れてみたい収納プラン②ウォークスルータイプのシューズクローク
また、玄関の収納も、壁付シューズクローゼットではなく玄関から土間収納、そして室内へと抜けられるウォークスルータイプのシューズクロークが人気です。
たとえば、次の写真の玄関収納は、玄関ドアを開けて右手側にシューズクロークを配置。
シューズクロークは、玄関の土間からも、そして室内側からも出入りできるように動線を設計しました。
次の写真は、また違うお客様邸ですが、こちらはシューズクロークから室内へと入る動線上にコートなどを掛けられるスペースも確保しています。
お家に帰ってすぐに上着を片付けられるから、ウォークスルータイプの玄関収納は片付けラクな家づくりをしたい方にもぴったりです。
ウォークスルータイプのシューズクロークを取り入れるときは、
(1)暮らし方に合わせて広さを決める
(2)通りやすい幅を設定する
(3)間取りやレイアウトに合わせて扉を設置するなどのポイントを考えながら家づくりを進めていきましょう。
ぜひ参考にしてみてくださいね!